私は以前の職場は、老人ホームでした。
先日家の本棚を整理していたら、老人ホームで働いていた頃に読んでいた「私は誰になっていくの?」という本をみつけました。
アルツハイマー患者から見た世界について書いたものです。
タイトルは、「私は誰になっていくの?」です。
5年ほど前に買った本で感銘を受けた本でしたので、懐かしさで少し読み返してみました。
「クリスティーン・ホーデン」という名前の認知症患者さんが書いた本です。
そのタイトルを目にした時の悲しみは、いまだに忘れません。
本当に認知症の人から見た世界が切々と書いてあるので、本当に悲しいです。
「私は誰になっていくの?」と言う題名が心に響きます。
クリスティーンは46歳にときに、アルツハイマー型認知症と診断されました。
すでに子供も3人いました。
当時は老人のように忘れっぽいわけではなく、ただストレスのせいだと思っていました。
時々偏頭痛があったり、曲がり角を間違っている程度でした。
自分がぼけてきたという自覚症状もなかったみたいです。
そのうち少しずつ、自分に対する心構えをしはじめます。
本を読むにしても「今度この本に触れる時は自分はこの本を読むことが出来るだろうか?」と考えていたそうです。
税金のことにしても、還付申請にしても、「いつまでこんなことが出来るだろうか?」と悩むようになります。
「自分は知らないうちに間違いをしてしまうのじゃないか?」と考えるようになります。
計算能力は病気のきわめて早い段階で現れると言われていますので、足し算の仕方や引き算の仕方なども、どうやってすればいいのかと心配になってきます。
出来ればいつまでも忘れないでほしいと願います。
そのうちに自動車の運転もできなくなってきます。
このペダルはなんなのか?車が止まるにはどうすればいいのか?がわからなくなってきます。
ガレージへ入れるためにはどうすればいいのか?
ハンドルはどっちへ切ればいいのか?などです。
しまいには、ガムを噛みながら歩くこともできなくなり、階段を上ることも難しくなります。
こんな悲しいことはありませんよね。
この本を書いたと言うのが奇跡のような気がします。
最後に、認知症とともに歩むこの旅が理解され、前向きな気持ちで応援してくださる方が多くなっていることを願っています。